COLUMNコラム

ホームインスペクションが「中古+リノベ」スタイル成功のカギ!

2016.12.9

リノベーション・リフォーム

新しい住宅の在り方として「造っては壊し、また造る」という、いわゆるスクラップ&ビルドの発想から、「良い建物を手直し・改造しながら大切に受け継ぐ」というリノベーションが日本でも注目され始めた昨今。

建物としての表面的な美しさや一時的な流行ではなく、次の世代でも建物を大切に使い続けるうえで軸となる「品質」を担保するための、確かな視点が求められるようになります。

そこでクローズアップされているのが、「ホームインスペクション」。住まいの品質を建築のプロフェッショナルが検査し、第三者的な立場で診断を行うシステムです。

1.中古住宅の品質を診断するホームインスペクション

1-1 第三者の視点で、住宅の「健康状態」を診断

ホームインスペクション(Home Inspection)——日本語にすれば「住宅診断」や「建物検査」。つまり建物の健康診断です。これからこの住まいで長い人生を歩もうとする人たちが、安心したうえで建物を購入することができるように、ホームインスペクター(住宅診断士)と呼ばれる住宅の設計・施工に詳しい専門家が、第三者的な立場から住宅の状況、欠陥の有無を検査・診断するシステムです。

ホームインスペクションは新築住宅でも、中古住宅でも、存在している建物の品質をチェックするという意味において大切なものです。

新築住宅の場合は、完成した建物の施工精度や不具合・施工ミスの有無をチェックし、診断結果を購入するかどうかの判断に活用したり、売主へ指摘して補修を要求したりという目的で行われます。これまでも住宅購入後の引渡し前には、契約通りの施工が行われているかの施主検査は行われてきましたが、ホームインスペクションでは購入前でもそれを行うという観点が異なります。

pixta_20789113_S

中古住宅の場合では、新築時からの年数が経過している分、経年による劣化の状況を判断することもポイントになります。あらゆる調査から、劣化が築年数と比較して相応なのか、外観の見た目以上に深刻なのかの判断を行ったうえで、もし購入するのであれば補強や修繕、大掛かりなリノベーションを行うための材料とします。

またリフォーム・リノベーション済みの中古物件では、改修の仕上がり具合は万全か、補修すべき箇所の抜けがないか、新たに増設した間取りや機能に問題はないかなどを診断することになります。

いずれにせよ、「住宅」は多くの人にとっての人生最大の買い物になるのですから、その品質について最大級の安心を得たいというのは自然な思い。そのために、売主側でも買主側でもない公平な第三者の視点で建物の状態を判断し、修繕のアドバイスをする存在が求められているのです。

1-2 ガイドラインを作成 国も普及を後押し

日本ではまだ新しい言葉といえるホームインスペクション。しかしリノベーションをしながら数十年、数百年と建物を使い続ける文化が定着している欧米ではおなじみのシステムです。

アメリカでは、1976年にホームインスペクションを行う「ホームインスペクター」の業界団体(ASHI:American Society of Home Inspectors)が設立されました。しかしこの団体は、差し押さえ物件の価値を見極めることが目的で、投資家のために制度という意味合いが強いものでした。

1990年代に入り中古住宅の流通量が増えたことで、一般住宅分野でホームインスペクションが脚光を浴びます。次々と関連協会が設立され、実施の基準やルールが作成・運用されるようになりました。

その後、2001年にマサチューセッツ州でホームインスペクターの資格制度が法制化されたのを皮切りに、各州で同様の法整備が進められ、現在は公の資格制度として定着しています。

外人

一方日本では、ホームインスペクションという仕組みが注目を浴び始めてから、まだそれほど時間が経っていません。買主からのニーズに応じて住宅診断を請け負う建築士や設計事務所は存在しましたが、ホームインスペクションを事業として行う会社が見られ始めたのは2000年ごろといわれています。

もちろん診断の基準や、経験・実績に基づいたマニュアルなどはなく、サービスの内容も新築物件の完成・引渡し前検査、内覧会同行などが主であり、購入前の利用は少なかったようです。

そんなホームインスペクションの存在価値に大きな変化が見られるきっかけとなったのは、2010年の「既存住宅売買瑕疵保険」制度の導入。加入すれば中古住宅でも「主要構造部の瑕疵や雨漏りが見つかれば保険で補修費用分が出る(免責あり)」「保証者が倒産しても保険金が出る」というメリットがある保険制度ですが、保証の対象が主要構造部や雨漏りに限られるなど不十分な点もあるため、その不安を払拭する手段としてホームインスペクションが注目されたという側面もあります。

それを境に国内でもホームインスペクターの資格を発行する民間の任意団体が増えたことで、2013年には国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を公表。ホームインスペクションの適正な実施を図るために、共通の基準を持って取り組むことが望ましいという考えを示しています。

日本は地震国ということもあり、住宅の構造に関する安全性への注目度が高い国です。またモノやサービスへ求める品質レベルも高く、その点でも購入する物件に関する不安を取り除いてから手に入れたいとする思いも強いと考えられます。

ホームインスペクションは、そういった国内事情や環境、さらには「中古住宅購入+リノベーション」という住まいの在り方への注目といったバックグラウンドも相まって、今後さら一般的なシステムとして認知されていくことが予想されます。

1-3 中立性が問われるホームインスペクター

ホームインスペクションを業務として行う「ホームインスペクター」は、まだ国内では公的な資格として認められているものではありません。NPO法人など民間の団体が、独自の基準でホームインスペクターとしての資格を発行しているのが現状です。

ホームインスペクターとして活躍している人は、それら民間の資格を肩書きとして活動している人がほとんどです。しかし正直なところ、資格の取得のための講習や試験のなかには、不動産業界で仕事をしてきた人間であればそれほど難しくないものもあるようです。そのため、資格のあり・なしではなく、住宅を診断する技術があるか・ないかで、この仕事の有益性を測るべきです。

その意味では建物の構造や施工の実務に精通した専門家、つまり1級・2級建築士、設計・工事監理者、施工管理技術士など自身の知識や経験をもとに精度の高い調査・診断を行うことが理想的といえます。

ホームインスペクターの資質として求められるのは、売主側でも買主側でもない第三者の視点を持って診断に臨む公平性です。

アメリカはかつて、ホームインスペクターと不動産業者との癒着が問題となり、現在、州によっては「不動産業者によるインスペクター紹介禁止」としています。

オーストラリアでも「売主主導によるホームインスペクションは虚偽が多い」という問題が浮上し、買主が主体となってインスペクションをするしくみが創設されています。

イギリスでも同様に買い手がホームインスペクションを依頼しています。このようにホームインスペクションが家を売ろうとするため、あるいはリフォーム・リノベーション、耐震工事を請負うための「やらせ」となっては意味がないというのが、“ホームインスペクション先進国”の常識です。

もちろん日本におけるホームインスペクションでも、その観点は重視すべきものとして認識されています。国土交通省が作成した『既存住宅インスペクション・ガイドライン』も、第三者が客観的に住宅の検査・調査を行うホームインスペクションを原則として、ホームインスペクターの技術的能力の確保や検査・調査の項目・方法のあり方について検討し作成されています。

そのうえで以下のような項目を設け、中立性確保のためにインスペクターが遵守すべき項目を具体的に記載しています。

  • 自らが売主となる住宅については、インスペクションをしないこと
  • 依頼主の承諾なく、依頼主以外から報酬受け取らないこと
  • 仲介、リフォーム事業者から、謝礼などの提供を受けないこと
  • 紹介料、推薦料などの謝礼を提供しないこと
  • 媒介業務やリフォーム工事受託をしている場合は、その旨を明らかにすること
  • 売買やリフォームの請負契約を締結しない旨を意思表示している依頼者には契約勧誘しないこと

あくまで「住まい手のこれからの安全・安心な住環境を守る」ということを唯一の目的として掲げられていなければ、ホームインスペクションとして有意義なものになることは期待できません。

2.ホームインスペクションの実際

2-1 ホームインスペクションの一般的な診断内容

実際のホームインスペクションの現場では、どのようなチェックが行われているのでしょうか。

まずは中古一戸建て住宅購入の際に行われる、一般的な診断内容について見ていきましょう。

建物外部・屋外

基礎:ひび割れ・欠損・モルタルの浮き・劣化・水切りの状態・カビやコケの繁殖など

外壁面:ひび割れ・仕上げ・タイルの浮き・劣化・カビやコケの繁殖など

軒裏:割れ・劣化・漏水痕など

屋根:仕上げ材の劣化・瓦のズレ・雨樋の破損など

室内

天井・壁:ひび割れ・やぶれ・しみ・カビ・傾きなど

床:たわみ・傾き・ひび割れなど

建具等:動作状況・傾きなど

水周り:動作状況・排水音の異常・漏水など

バルコニー:サビ・劣化・破損など

設備:換気扇など

床下

基礎:内側のひび割れ・劣化など

構造部(土台や大引き):ひび割れ、金物の固定など

配管:漏水・勾配の有無・金物の固定状況など

断熱材:劣化、断熱性能など

屋根裏

構造部(柱・梁など):劣化・ひび割れ、金物の固定など

雨漏り:痕跡、(ある場合には)状況

断熱材:劣化、断熱性能など

調査は目視や打診のほか、床や壁の傾きを調べるレベルレーザーなどの機器を駆使して綿密に進められます。

インスぺ         レベルレーザー

上に挙げたような項目が基本の調査内容ですが、もちろん依頼によってはもっと多方面に調査が及ぶこともあります。

一方中古マンションでは、住戸内の専有・共有部分の目視を中心に設備機器や建材の劣化状況、リフォームやリノベーション済みの場合にはその完成度などを診ていきます。一般的な調査項目については以下の通りです。

室内

壁:ひび割れ、ハガレ、腐食、カビ、水染み跡など

柱、梁:欠損、傾きなど

床:傾き、きしみ、沈み、変色、腐食など

建具・ドア:建てつけ、欠損、傾きなど

屋外

外壁:ひび割れ、チョーキング、欠損、ハガレ、破裂など

バルコニー:手すりのサビ、ひび割れ、欠損、傾き、床面の変色など

軒裏:ひび割れ、欠損、ハガレ、破裂など

玄関ポーチ

外壁仕上げ:ひび割れ、欠損、ハガレ、破裂など

床面:ひび割れ、欠損、傾き、変色など

軒裏:ひび割れ、欠損、ハガレ、破裂など

設備

鍵:劣化、防犯対策

排水設備:漏水、排水不良・詰まり、異臭など

給水設備:吐水量不足、水の変色、漏水、給湯器からの漏水など

換気設備:給排気量不足、動作不良、異音、ダクト接続不良、外部貫通部破損など

電気設備:エアコン設置の可否、電気容量、ブレーカーの落ちにくさなど

その他の共有部分

サッシ・窓・網戸:建てつけ、防犯対策、ガラスの仕様、劣化など

玄関扉:ガタつき、動作不良など

基本的なホームインスペクションであれば、2〜4時間で調査はほぼ終了します(もちろん家の広さによりますが)。追加で詳しい作業をしたとしても、1日あれば終了することがほとんどです。

2-2 ホームインスペクション3つの種類

国土交通省策定の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」では、ホームインスペクションの内容に基づき、その種類を3つに分類しています。

1. 一次的なホームインスペクション

中古住宅売買時に行われる建物検査。調査は基本的に目視や簡易計測器を使って行われ、構造安全性や日常生活上の支障があると考えられる劣化事情、不具合の有無などを把握します。建物を部分的にも破壊することなく行うことが原則です。

 

2. 2次的なホームインスペクション

1次的なホームインスペクションの結果、気になる箇所が見つかった場合の追加検査が2次的なホームインスペクションです。劣化や不具合の範囲や状況、原因を把握するために、詳細な調査が行われます。耐震診断・外壁の赤外線調査などがこれにあたります。

 

3. 性能向上インスペクション

リフォーム実施前後に行い、住宅の劣化状況と性能を把握するためのホームインスペクションです。耐震性・断熱性・省エネ性を調査することで、住宅性能をUPさせる方法を探る材料とします。

 

通常、「ホームインスペクション」という場合には、一次的なホームインスペクションを指すことが多いです。ほかは1次的なホームインスペクションをさらに深掘りする「精密検査」のようなものです。

 

3.信頼できるホームインスペクターを選ぶために

3-1 ホームインスペクションはいつ行うべきか?

それでは実際にホームインスペクションを依頼する場合の手順や注意点を説明しましょう。

まずはホームインスペクションを行うタイミングです。一般的な中古住宅の取引は、「物件見学」→「購入申込書の提出」→「売買契約締結」→「決済」→「引き渡し」→「入居」といった流れで進みますが、この中のどのタイミングで実施すべきなのでしょうか。

理想的なのは売買契約を締結する前の実施です。もし欠陥や不具合が見つかったとしても、その段階であれば売主側が対処したあとに契約する、修繕費用を売買価格から除いた金額で契約する、あるいは契約自体を見送ることも可能だからです。

通常は購入申込書の提出から売買契約の締結までの期間は1週間程度ですので、その間に実施するのは時間的な無理が生じます。購入申込書を提出する前に、仲介業者に対してホームインスペクションを実施したい意向を伝えておくべきでしょう。

引き渡し以降だとしても、一般的な売買契約では「売主と買主が知り得なかった契約時に存在した物件の不具合や欠陥を、引渡を受けてから一定期間以内に買主が発見した場合、その責任を売主に問うことができる」という瑕疵担保責任や設備補償の規定を取り決めますので、ホームインスペクションを行う価値はあります。

しかし、すでに売買代金の全額は売主に渡っていることから、簡単に事態が好転しないこともありえます。やはりホームインスペクションは売買締結前に行うのがベストです。

また最近では、すでにホームインスペクションを実施し、その結果を公表したうえで販売活動をする仲介業者もあります(リノナビで紹介している物件は、簡易的なリノナビインスペクション(独自住宅診断)を実施したマンションです)。もしかすると、これがもっとも手軽にホームインスペクションを実施できる方法といえるかもしれません。

3-2 利害関係者からの紹介がキケンなワケ

次に信頼できるホームインスペクターを選ぶために知っておくべきポイントを考えてみましょう。

一番に重視すべきなのは、その人(会社)が買主にも売主にも寄らない、第三者であるということ。ホームインスペクションでは「公平性」が維持されることがもっとも重要です。

ホームインスペクターが不動産仲介業者や建築業者などが出資する会社であったり、下請けになっている場合は注意が必要です。建物に何か問題が見つかったときでも、その事実を報告しなかったり、捻じ曲げられるということも起こりうるからです。

たとえ表向きは無関係となっていたとしても、実は裏で不動産会社と繋がっていて、実施後に不動産会社に紹介料を支払うなどしている場合もあります。物件の施工や仲介に関係する会社からの紹介は、最低限避けた方が無難でしょう。

またリフォーム業者が契約を取りたいがゆえに、過大に欠陥を報告してくることも考えられます。そもそもリフォームやリノベーション前には建物の審査を行いますが、それは本当の意味で公平なインスペクションとは呼べず、客観性はどうしても低くなります。

となると、ホームインスペクターは買主側やリフォーム・リノベーション依頼主側が、インターネットなどを使い独自に調べ、そこから候補を選ぶことが基本になります。

ちなみにリノナビで行うインスペクションは、リノナビのスタッフが独自の基準に則り直接行う、簡易記的なインスペクションです。さらに客観的な判断を望む場合は、リノナビスタッフよりホームインスペクションを行っている会社をお教えすることになります。

3-3 ホームインスペクター選びの判断材料

さて、客観性が確保された候補を挙げたら、次はそこからの絞り込みを行います。その際に判断とする情報は、ホームインスペクターとしての実績です。

ホームインスペクションの調査・診断は、机上の知識だけでは対応できません。これまでどのような物件・案件・不具合・劣化を、どれだけ見てきたのかが重要です。問い合わせの際に、ざっくばらんに聞いてみるようにしましょう。

jirsak150500042

また同じホームインスペクターとはいえ、得意分野・不得意分野もあります。木造、2×4、RC(鉄筋コンクリート)造など、建物の工法にはさまざまな種類があります。専門性の高い建物の世界では、すべての工法に精通しているインスペクターは稀。自分が依頼する建物の工法に詳しいかどうかも確認しておきたいところです。

 

誰でも見ることができるホームページなどの宣伝物に、プロフィール(氏名・写真・所有資格など)を公表しているかもひとつのポイントになります。なぜならホームインスペクション業界では、建設会社などで勤務する社員が会社に内緒でアルバイトしているケースが見られるからです。堂々と住宅診断業務を提供できない人は、当然プロフィールを公表しない傾向にあります。自分の素性を出せないような人に、大切な住宅の診断を依頼するのは考え直した方がよいでしょう。

 

その人がどんな資格を所有しているかも見るべきポイントです。その資格が民間のホームインスペクション団体が発行する認定資格だけでは心もとなく、望ましいのは国家資格である建築士の資格。一級建築士もしくは二級建築士であることを確認しましょう(もちろん、できれば一級建築士)。

ここで注意しなければならないのは、担当者個人が建築士であるかどうかです。例えばホームインスペクションを提供する会社が「一級建築士事務所」として登録していても、担当者は二級建築者や他の資格者ということもあります。

会社が「一級建築士事務所」として登録していることと、担当者が一級建築士であることは別であることは知っておきましょう。ホームページ上で確認するだけでなく、現地で会ったときには、建築士の資格証を提示してもらって本人かどうか確かめるまで徹底すべきです。

公平性、実績、プロフィール、所有資格と確認したうえで、最終的に判断する要素があるとすれば「相性」「人柄」という人間性の部分になるかもしれません。大事な住まいの今後に大きな影響を及ぼすことになるホームインスペクションを「なんかウマが合わないな……」と心のどこかで引っかかる人に任せるのは良いこととはいえません。

家や建物のことに限らず、いろいろな会話を重ねるなかで、しっくりくる関係が築けるかどうか。専門用語を使わないわかりやすい表現で、言葉で、その住宅の実情をていねいに説明してくれるかどうか。その判断はとても大切です。

3-4 ホームインスペクション費用の相場感

ホームインスペクションは、そう何度も行うものではありません。ですから、それを利用する際の料金についても、イメージしにくいのではないでしょうか。

もちろん地域性はありますし、それぞれの会社がそれぞれのコスト、利益率などの基準を設けて行っていますので多少の差はあります。しかしだいたいの基準を把握しておけば、高すぎる業者や安すぎて不安な業者との契約を避けることができます。

一般的に、建物外部を目視や打診で確認したり、床下や屋根裏を点検口などから覗いて確認する基本的な調査は、5〜8万円程度というケースが多いようです。

お金

さらに基本調査に加えて床下や小屋裏へホームインスペクターが潜って確かめるオプション的な調査を加えた場合には、基本調査代との総額が10〜15万円程度に上昇することになります。

この金額をどう考えるかは意見が分かれるところですが、住まいという数千万円レベルの買い物を行うわけですから、そのための事前調査費用とすればびっくりするほど高額なものではないとも思えます。

大切なのは、その料金の中にどんな調査やサービスが含まれるのかを確認すること。とくに診断後の報告書は、この住まいを購入するか・しないか、するとすればどう修繕するかなどを判断するための客観的な資料となります。料金を削ることで、ここが疎かになるようなことはあってはいけません。料金の高い・安いよりも、価格とサービスのバランスを考えることが重要です。

4.ホームインスペクションが変える! 日本の住宅市場

4-1 徐々に整い始める、ホームインスペクションの法制化

これまではあくまでも住宅を購入する際などに任意で行われていたホームインスペクション。しかし、リフォーム・リノベーションを施し、新築に近い形に蘇らせた中古住宅を販売するというモデルが認識されつつあり、それを国も後押ししている背景を受けて、ホームインスペクションを法制化する動きが本格化しています。

2016年2月に「宅地建物取引業法(宅建業法)」の改正法が国会に提出され、約3ヶ月間の審議を経て6月3日に成立しました。

この法案のなかには2年後の施工を目指す条項として「既存建物取引時の情報提供の充実」という内容が盛り込まれています。これは不動産仲介業者が中古住宅の売買契約を結ぶ際、その契約確認事項に「住宅診断(つまりホームインスペクション)を行うか否か」の項目を掲載することを義務付けるというものです。それにより、中古住宅売買においてしばしば問題になっていた、物件情報の不透明性を解消し、安心して中古住宅を購入してもらおうとする目的があります。

いよいよ国も中古住宅の流通活性化に本腰を入れ、ホームインスペクションを重視した方針に転換 してきたというのは歓迎すべきことです。こうしては販売されるリノベーション済み中古住宅全体の品質が向上すれば、消費者の選択の幅が広がり、住宅市場の活性化につながります。「夢のマイホームといえば新築」という固定概念が、中古住宅購入前に住宅診断を行うことで「中古住宅を買ってリノベーションする方法もあるな」という、欧米では一般的な発想へと変化する道筋になるかもしれません。

4-2 法制化により問われる、買主側の意識

ただしここで考えなければならないのは、今回の法制化ではホームインスペクションが義務化された訳ではなく、「行うか・行わないか」を確認する作業が義務化されたという点です。

もちろん確認した結果、「行なわない」という判断になることもあるでしょうし、販売する中古住宅の品質にちょっと心配がある不動産会社側が利用しない方向に誘導をするケースなども考えられます。また逆に、自社や自社が提携するホームインスペクション業者を紹介・斡旋しようとする会社が増えるかもしれません。

どのようにしてホームインスペクションの中立性を保つのか、その辺りの課題はまだ残ったままといえるでしょう。

そうなると重要なのは、買主側が「品質の良い家を吟味してから買う」という意識を強く持つことです。売主任せにせず、自分自身で頼りになるホームインスペクターを探して住宅診断を行うこと。そんな姿勢が当たり前になってはじめて、日本に新しい住宅文化が根付くのかもしれません。

5.一軒の住まいを大切に使い続けるために

ホームインスペクションは、その言葉も含めてまだまだ知らない人が大多数。これが中古住宅売買時に当たり前のように活用されるのには、まだまだ時間が必要です。

1605-09_02

しかしその流れは着実に発生しており、勢いを増して日本の住宅市場を変えつつあります。「一軒の住宅を大切に使い続け、適切に維持管理しすれば、その価値は今後も大きく目減りすることがない」というコンセンサスを、国と業界が協力して醸成すること。

それが住宅に対する消費者の価値観と物件への愛着を次のレベルへと引き上げるカギになるのです。

RENONAVIのイチ押しコラム

RECOMMENDS

お部屋探しの方はこちらから。
センスあふれる素敵なインテリアの
リノベーションマンションを集めました。