自然のチカラで快適な室内空間を!
今注目の「パッシブデザイン」ってなに?

2017.2.3

建物の話

エネルギー資源の節約意識や健康志向の高まりとともに、今「パッシブデザイン」という建築手法が注目されています。

機械的な設備に頼らず、日光や風、地熱など自然界に存在するエネルギーを操ることで快適な住まいを実現するこの技術。リノベーションにも十分活用できる内容です。

環境意識と健康志向で注目

パッシブデザイン——日本語で言えば「環境共生住宅」。

東日本大震災以降、機械的な設備に頼らず、風・日光・地熱など自然の力を効果的に活用することで快適な室内環境をつくり出す住まいが注目されるようになってきました。

しかしこのような考え方は真新しいものではなく、四季の気候変化を暮らしに活かす住文化を持つ日本では古くから取り入れられてきました。深い軒、障子やすだれ、縁側、土蔵などがそれにあたります。先人たちは、自然の力をうまく利用して日本の気候に合った家を造りだしてきたのです。

今改めてこのような住まいづくりが脚光を浴びている背景には、2つの要因が考えられます。

一つはもちろん、地球的規模のエネルギー不足問題、環境汚染問題を解決するための手段として、石油への依存を減らしていこうという志向に基づくものです。特に冷暖房器具は、家庭内におけるエネルギー消費の多くの部分を占める要素ですから、それを自然の力で補うことは大変意義深いことです。

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もう一つは、健康志向の高まりによりものです。例えば「エアコンの温冷風」よりも「自然涼風」や「薪ストーブの温もり」の方が好きという人は多いはず。自然エネルギーの恩恵を受けながら、それと共生して暮らすことの心地良さは、誰もが本能的に求める欲求です。

また、例えばヒートショックと呼ばれる室内での急激な温度差による体調不良も、部屋間の温度差が自然と小さくなるパッシブデザインの家では、その危険性を抑えることができます。住む人の身体をいたわるという意味においても非常に有効であるといえます。

ポイントは「断熱」「日射」「明るさ」「風通し」

パッシブデザインを実現するには、とても奥深い知識が必要です。建築設計の知識はもとより、住まいをとりまく環境、とりわけ太陽光の差し込み方、熱の伝わり方、風の吹き方、湿度の移り変わり、人が心地よいと感じる温熱環境など、さまざまな要素を完璧に把握し、形にしていかなければなりません。

図面上でのプランニングに加えて、空気・熱・光・風・エネルギーなど、見えない物のコントロールも含めた設計が必要なのです。

実際に設計は、次のような要素をベースに進められます。

[断熱]

断熱性能を高めることで、家の保温性が高まります。つまり少ない暖房エネルギーで室温が上がり、上がった室温を維持しやすくなります。また暖房がなくても室温が一定に保たれる効果も期待できます。

施工では、屋根、天井、壁、窓、床それぞれに合わせた断熱材が施されます。

[日射]

夏でもエアコンに頼らない室内環境をつくるには、日射を遮る工夫が必要です。逆に冬でも暖房なしで暖かくするためには、心地よい日差しを室内の奥まで取り入れなければなりません。

この2つを同時に満たすための設備が、軒(のき)や庇(ひさし)。設計では季節によって異なる太陽高度や動き、日射状況をしっかりと把握。それに応じた庇の大きさや軒の幅・高さ、設置する方位、開口部の大きさなどを計算する技術が求められます。

また冬場には葉が落ちることで太陽光が入りやすくなり、夏場は葉がつくことで暑い日差しを遮る落葉樹を利用するなど、植栽の工夫も有効な方法です。

[明るさ]

日当たりの良さを考えれば、直射光が長く入る南側に窓を設けるのが基本。しかしそれだけではなく、空からや周りの建物に反射した間接光は入ってきます。それらを活用し、窓の位置や高さ、数などを工夫することで午前、午後ともに明るい部屋を多く作ることが可能になるのです。

また窓が十分に設けられなくても、窓から離れた部屋に光を導いて明るくすることもできます。

例えば家の南側に吹き抜けを設ければ、北側の階下の部屋に直射光が入ります。室内の壁や天井を白系にすれば、反射した光が奧まで進むことになります。

南側のベランダや庇に反射させた光を奧まで導く方法もあります。このように巧みに光を操り、明るい光に包まれた空間をつくるのです。

[風通し]

風は地理的要因などにより、その土地土地で独特の流れや強さを持っています。

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パッシブデザインでは、さまざまな気象データや土地勘を生かしながら風の流れを考え、「通りやすく捕らえやすい」計画を行います。具体的には風の出入り口となる窓の配置、風がぶつかり角度を変える壁の設置などをシミュレーションしながら決めていく作業なります。

また住宅密集地など通風があまり期待できない土地では、吹抜けを設けることによって、夏の暑い空気を天井から屋外へ排出し、1階に設けた窓から外の涼しい空気を取り込む「温度差換気」の手法が用いられます。

このように、建築のプロならずとも住まいづくりに興味のある人ならワクワクするような「匠の技」が満載のパッシブデザイン。

日光、風、熱などを操り、快適な空間を演出する技術は、新築住宅の建築時のみならず、リノベーションでも十分に活用できるものも多くあります。一度じっくり研究してみてはいかがでしょう。

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